1.7 むすび

 以上、地震動予測地図工学利用検討委員会の活動経過とその意義を述べてきた。地震動予測地図は、広い活用の可能性を持つものであるが、委員会の発足当初は、その工学的利用という専門性が強い分野での検討を行うという認識が強かった。しかしながら、討議を重ねる中から、工学的利用の対象とその方法論は、実際は社会との繋がりの中で多様な姿を取ることが明確にされ、その結果本委員会もこうした多様性を視野に捉えながら個々の専門領域の整理を行うという視点を持つに至った。
 さらに特筆すべきは、本委員会の討議が、真の意味での理工学の共同討議の場を形成してきたことである。この活動が、今回の地震動予測地図作成プロジェクトにとどまらず、今後の地震学と地震工学の協力関係を育てる契機となることを念願するものである。


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