5.3 布田川・日奈久断層帯(中部・南西部)のモデル化に関する資料

5.3.1 目的

 布田川・日奈久断層帯(中部・南西部)のモデル化に関しては、2.3.1のCにおいて示されている。ここでは、布田川・日奈久断層帯(中部・南西部)のみを対象とした場合の各ケースのハザードカーブを比較して示す。

5.3.2 地震活動のモデル

 布田川・日奈久断層帯(中部・南西部)の長期評価(地震調査委員会,2002)では、活動履歴の解釈から、平均活動間隔ならびに最新活動時期に関して二つのケースが併記されている。そこで、西日本の確率論的地震動予測地図の作成においては、図5.3.2-1に示すようなケース分けを行い、それに基づく表5.3.2-1の3つのケースの重み付き平均として布田川・日奈久断層帯(中部・南西部)の活動によるハザードカーブを算定する。各ケースの地震発生確率とマグニチュードを表5.3.2-2に示す。
 なお、長期評価では、南西部については平均活動間隔が不明とされている。南西部が中部と同時に活動する場合(ケース1-1)には、中部の地震発生確率が用いられる。一方、南西部と中部が別々に活動する場合(ケース1-2とケース2)には、南西部の長さ(27km)とB級活断層の平均的な平均変位速度(0.25m/千年)に基づいて平均活動間隔を8600年と仮定し、ポアソン過程より将来の地震発生確率を付与した。

5.3.3 各ケースのハザードカーブの比較

 上記の各ケースにおけるハザードカーブを比較する。ここで対象としたのは布田川・日奈久断層帯(中部・南西部)の活動のみによるハザードカーブであり、他の地震の影響は考慮していない。対象地点は熊本市と八代市の市役所位置、評価対象期間は西暦2004年から30年間と50年間である。また、表5.3.2-2に示したように、地震発生確率として「平均ケース」と「最大ケース」の双方を評価した。
 図5.3.3-1に熊本、図5.3.3-2に八代の結果を示す。対象地点や期間に拠らず、「平均ケース」では今回の3ケースによるハザードカーブの差はほとんど見られない。一方、「最大ケース」では今回の3ケースによるハザードカーブの差は大きく、中部の地震発生確率の違いを反映して、ケース1-1が最も高いハザードを与える結果となっている。最終的には3ケースを重み付き平均したハザードカーブ(太線)が用いられる。

5.3の参考文献

  • 地震調査委員会(2002):布田川・日奈久断層帯の評価,平成14年5月8日.

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