6.おわりに

 地下構造データベース検討ワーキンググループでは統合化地下構造データベースへ向けて、統合化地下構造データベースの必要性や地下構造データベースの現状と統合化における課題、統合化への道筋について議論および検討を行ってきた。当地下構造データベース検討ワーキンググループ設立の背景としても、日本は自然災害が多く、特に、地震災害では、地盤特性が大きな要因であるにも関わらず、地盤特性を評価するために不可欠の調査資料は、事業主体を越えた利用がほとんどなされていない、もしくは、利用するための機運はあるものの、特定の地域を対象としたものなどであり、かなり限定的な範囲に留まっているという現状があった。すなわち、既往の調査研究では、個別の自治体あるいは機関を単位として、個別の目的のために行われるのが通例であり、調査研究の結果得られた地下構造に関する知見やデータを他分野あるいは他目的に再利用するための環境が整っていなかったとの反省がある。
 現在のような経済情勢の下では、公共投資の最大限の有効活用という観点からも、機関横断的かつ複合的な調査・研究が実施されるようになり、その結果取得されるデータを再利用などを考慮して取り扱うことが、ますます不可避となると考えられる。統合化地下構造データベースはデータ共用の基礎的な環境を提供することをねらいとしている。
 防災科学技術研究所は、これまでに特定プロジェクト「地震動予測地図作成手法の研究」および文部科学省リーディングプロジェクト「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」に関連して、その収集した資料および成果等をインターネットでのデータ流通を念頭においたデータベース化を試みてきた。このデータベースは、今後さらに拡充すべきであり、可能なものから開示を開始するべきである。それと共に、関連する分野でデータを蓄積し、活用を推進している機関との相互データ交流について実験的な取り組みを開始し、それとの統合化の実現性について具体的な検討を進めるべきである。
 同時に、より高精度な地震動および被害予測を行うために、防災科学技術研究所は、今後も国、研究機関、自治体、民間企業と協力し、地下構造に関する必要な資料を取得するための系統的で詳細な調査研究を引き続き継続することが必要である。


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