3−2.防災科学技術研究所の取り組み

 防災科学技術研究所では、特定プロジェクト「地震動予測地図作成手法の研究」および文部科学省リーディングプロジェクト「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」に基づく研究の推進に関連して多くの地下構造関連の資料を収集しているが、それらについて、研究所内での活用をより促進するためにデータベース化を検討し、平成15年度にプロトタイプを構築している。

3−2−1 収集の状況

 防災科学技術研究所のデータベースに登録されている地下構造データについての概略は以下のとおりである。

(1)収集資料の深さの範囲

 浅部地盤構造データとしては、シナリオ地震による地震動予測地図を作成した地域について、その地域で取得されているボーリング資料を、国土交通省電子納品要領案に沿ったデータ形式で整理している。収集に当たっては、国土交通省、都道府県、政令指定都市、その他研究機関等の協力を得ている。
 深部地下構造データとして、文部科学省地震関係基礎調査交付金により地方自治体が実施した活断層調査および堆積平野地下構造調査の調査成果についても可能な限りオリジナルデータおよび処理解析結果の数値データに遡り、収集・登録している。さらに、防災科学技術研究所が実施してきた地下構造調査および深層ボーリング調査成果やシナリオ地震による地震動予測地図作成のために構築した地震基盤以深の深部速度構造モデル(差分計算用格子モデルを含む)も登録している。

(2)収集の対象とした分野

 工学的目的で国(国土交通省等)自治体等が実施したボーリング調査資料を登録している。理学的側面の強い資料として、防災科学技術研究所が実施した調査研究資料、文部科学省地震関係基礎調査交付金による活断層調査および堆積平野地下構造調査のデータ、特定プロジェクト「地震動予測地図作成手法の研究」のために収集した資料を登録している。その他、旧石油公団(現・独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が実施した基礎調査類(基礎試錐および基礎物理探査)の概要報告書、地震調査研究推進本部による強震動評価結果に関する公表資料を登録している。

(3)収集の対象とした地域

 ほぼ全国を対象とした資料となっている。ただし、浅部地下構造データのうちボーリング資料については、シナリオ地震による地震動予測地図作成対象地区のみとなっている。

(4)収集の対象とした機関

 関東地方および北海道地方については、国や国の研究機関、公団、都道府県や主要な政令指定都市と支庁および公益性の高い法人、関連学会などより、浅部地下構造データの提供を受け、データベースに登録した。
 その他、浅部地下構造データとしては、シナリオ地震による地震動予測地図作成対象地区について、国および地方自治体よりデータの提供を受けた。

(5)収集した資料の取り扱い

 提供を受けたオリジナルデータ(特にボーリングデータの原データ)は、受領した内容のまま利用しており、位置や内容等に疑義がある場合でも、現状ではオリジナルデータについての修正変更は行っていない。
 特定プロジェクト「地震動予測地図作成手法の研究」に関連する資料は、全ての処理段階の資料を対象とした。
 文部科学省地震関係基礎調査交付金による活断層調査および堆積平野地下構造調査による成果資料は、可能な限り、原資料(オリジナルデータ)から最終成果までの各処理段階の資料の提供を受けた。

3−2−2 今後の見通しと収集上の課題

 防災科学技術研究所は、平成15年度において、地下構造データベースのうち特定プロジェクト「地震動予測地図作成手法の研究」に関わる成果(中間成果を含む)の開示の方法について検討を行い、平成16年度にはインターネットを利用したデータの配布・閲覧などに関わる実験的な取り組みを行い、さらにデータベース管理システムの高度化などを進めている。データの収集・登録についても、平成16年度以降も資料収集を継続し、「地震動予測地図作成手法の研究」の進捗に伴い現在よりさらに広範な資料・データを収集し、統合的にデータベース化する見込みである。

 防災科学技術研究所がその研究の推進に当たって資料を収集しデータベース化するに当たって、明らかになった課題がいくつかある。

  1. シナリオ地震による地震動予測地図作成対象地区が設定されるごとにその範囲に含まれる地域についての調査資料を収集するために、各事業機関等にその都度資料の有無、提供の可否等を問い合わせをしている。さらに、事業機関から資料利用の了解を受け、受領した資料について、個別にその内容を確かめる作業が繰り返される。今後、予測地図の見直し等の場合には、再度同様の手順を踏む必要があるものと考えられることから、統合化によるデータへのアクセス改善に対する要望は強い。
  2. オリジナルデータには基本的に修正変更を加えずにデータベースに登録しているため、その品質については、提供元の品質管理レベルに依存している。特に、浅部ボーリング資料については、そのインディクスに含まれる諸元(特に位置情報の取得の精度等)については、その点を留意する必要がある。
  3. 収集したオリジナルデータを基に、防災科学技術研究所が処理加工したものについては、防災科学技術研究所の責任で公開可能であると考えている。一方、オリジナルデータは、防災科学技術研究所が国から委託を受けたプロジェクト遂行のために利用するという目的で、オリジナルデータ所有機関から提供を受け、借用したものが大部分を占めている。当面は、研究所内部での利用に限定し、防災科学技術研究所が外部機関(個人)へこれらのデータを開示することは今後の検討課題である。

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